今さら説明不要ですがポケモンGO、ちょっと凄すぎませんか?
大分ではこの週末、天気が良かったこともあり、町外れでも夜中でも、街のあちこちでトレーナーの姿を見かけました。
もちろんプレイしないといけないというわけではありませんが、これがどれだけ大きなムーブメントなのかというのは理解しておきたいところです。
また地方都市ではブームは都市部より遅れてやってくるのが通常ですが、ポケモンGOに関してはブームの遅れなど全く無く、東京と同じタイミングで盛り上がっているのもすごいです。
筆者もこのタイミングを逃してはいけないと、リリース当日の夜にfacebookイベントで、ポケモンGOに強く関心のある方との交流会を開きました。
ポケモンGOはゲームとして楽しむ以外にも、ビジネスへの利用が期待・注目されています。
そこで、大分のローカルビジネスでポケモンGOを利用するために必要な基礎知識をまとめてみました。
ポケモンGOの概要
ポケモンGOは、位置情報を使ったスマホゲームです。
ゲームの中の地図と現実世界がリンクしているので、モンスターやアイテムを集めたりバトルをしたりと、ゲームを進めるためには実際に自分がそこに行かないといけません。
そのため街のあちこちにトレーナー(ポケモンプレイヤーのこと)が溢れているわけです。
ポケモンGOで集客?
さてたくさんの人があちこち移動するわけですから、そこに商機を見出そうとするのは自然な流れです。
日本に先駆けてリリースされたアメリカでは、すでにビジネスに利用し成功した例がいくつもあるようです。
店舗側としては、ポケモンGOの「ポケストップ」や「ジム」は金の卵だ。ニューヨークのあるピザレストランの場合、ゲーム内で10ドルの課金を行ない、ポケモンのキャラクターを店内に出現させたところ、来客数が75%も伸びたという。
ニューヨーク・ポストの取材に対しオーナーは「驚くほどのお客さんが店に来てくれた」と述べた。ポケモンGO xマック3,000店舗で実現 「AR集客」の破壊力 より引用
筆者注:ポケストップとはアイテムを得る場所、ジムはバトルをする場所です
どういうお店がポケモンGOで集客できそうなの?
地理的な切り口から考える
ポケストップの近くのお店はラッキーです。何もせずともお店の近くへ勝手に人が集まってきます。店先にトレーナーへのメッセージボードを出してみてはいかがでしょう?
しかも店内からポケストップへアクセスできる距離だと滞在時間が延びるでしょう。
体感的には半径30mくらいでしょうか?屋根があったり高いビルに囲まれた場所だったりすると、位置情報が正しく検出できないことが多いので要注意です。
店舗前に変な巨大オブジェがあるようなお店はそこがポケストップになってることも多く、衝動買い系のお店は特にお客さんを引き込めるのではないでしょうか。
現在はまだ「ポケモンやアイテムを集めること」がひとまずの目標になってるトレーナーが多く、彼らはあちこちのポケストップを巡回しています。
しかしもう少し時間が立ち、レベル5以上のトレーナーが増え、ジムでのバトルについてのノウハウや情報が集まってきたら、ジム付近での滞在時間が大幅に伸びるのではないかと思います。
ポケストップやジムの場所は、ポケストップGOというサイトで調べることができます(非公式サイトのため、完全に正しい情報とは限りません)。
ポケストップGO
これによると、都町エリアよりも府内町エリアの方がポケストップが密集しており、ポケモンGOでの集客に向いている事が分かります。
また大学生がサークル飲み会で利用するようなお店は、「あのお店ポケストップ前だからあそこにしようぜ!」などという話になるかもしれません。
ポケストップは自分で立てることが出来ませんので、そういうラッキーなお店は最大限に利用すると良いでしょう。
知ってもらうためには、お店のfacebookページや食べログなどに書きアピールするのが重要です(まだ書いてるところは無いようですね)。「ポケストップ」で食べログ内を検索する人もいるかもしれません。
また路上販売や移動型店舗は、移動できるという最大の強みを利用して、ポケストップの近くで営業してみてはいかがでしょうか。
サービスの種類という切り口から考える
本屋さんのように店内を立って周るタイプのお店より、カフェなどの座って時間を過ごすお店のほうが向いています。
単価が高い、また購入に際して検討期間が長い商品を扱うお店はあまりメリットがなく、衝動買い系に近い・単価が安いほどポケモンGOとの相性が良いのでは?と考えています。
最も相性が良いのはプロモーション。ポケストップの前でカンバンを持って「何月何日どこで何のイベントをやります」という告知すると最高じゃないでしょうか。
より多くの人を集める方法があります
桜の花びらが舞ってるようなポケストップを見たことはありませんか?
ルアーモジュールというアイテムを使うと、その付近でモンスターが出やすくなるという効果があります。
有効時間は30分間。ボコボコ出るわけではなく、1.3倍くらいの体感値です。
使用した本人だけでなく他のトレーナーに効果があるため、これを見かけたトレーナーが集まってきます。
ソーシャルとの相性は抜群なので、twitterで「ルアー挿してます #ポケモンGO」とtweetすればより効果的でしょう。
なおこのルアーは有料アイテムでひとつ100円ほどです。
また、あまり店内への滞在時間が延びると困る!ということでしたら例えば、14〜16時のヒマな時間帯に出したりするのが良いと思います。
どんな人がポケモンGOを遊んでる?
ポケモンGOのユーザー層を考えてみました。
年齢層
ポケモンGO未プレイの方は、「ポケモン=子供向け」というイメージかもしれません。
しかし実際にやってみると分かるのですが、街中ですれ違うポケモントレーナーたちはみな大学生以上でした。
スマホ、しかも一定スペック以上の機種でないと動かないという事を考えると、コアユーザー層は子供ではなく20~40代くらいの世代だろうと想定されます。
興味関心事
なんだかんだ言って、IT系と親和性の高いユーザーが長くやり続けると思います。
今は話題性・流行事に関心の高い層が厚いですが、時間が立ち熱が治まっていくに従って減っていくでしょう(それはポケモンGOが廃れていくという意味ではありません)。
男女比
男性の方がやや多いですが、女性トレーナーの姿も。街中や公園などではカップルで楽しんでいる様子も見かけます。
男女比6:4くらいでしょうか。INGRESSは9:1くらいでしたので、同じ位置情報ゲームでもこんなに違うのかと驚きます。
地域
このゲームを楽しむためには、ポケストップ・ジム、またはトレーナーの数が大きく影響します。
ですのでそれらの多い都市部に行くほど盛り上がります。
【悲報】田舎でやる『ポケモンGO』が辛すぎる | ロケットニュース24
INGRESS(イングレス)について
INGRESSとポケモンGOの関係
ポケモンGOを理解するためにはINGRESSというゲームを知っておくと良いです。
Googleの中にナイアンティックラボというチームがありまして、2013年にINGRESSというゲームを作りました。
これはポケモンGOと同じような位置情報を使った陣取りゲームで、世界中で熱狂的な大ヒットとなりました。
その後ナイアンティックラボはGoogleから独立し、ナイアンティックという会社に。
ポケモンGOは、このナイアンティック社が株式会社ポケモンの協力を得て開発したゲームです。
ポケストップはINGRESSのデータを使っている
INGRESSでは、ポケストップと同じようなチェックポイントとして「ポータル」というものがあります。
このポータルの情報(位置・名前・写真など)は、各地のINGRESSプレーヤー(エージェントと呼びます)たちが、ゲームをより楽しむために登録したものです。
ポケストップのデータはこのINGRESSのポータルのデータが使われており、ナイアンティックは世界中を回らずとも地域の名所やモニュメントなどの情報を得ているのです。
ちなみに筆者は2014年9月に大分INGRESSエージェントミーティングという、INGRESS初心者向けのイベントも開催しました。
ポケストップがあると迷惑?
また逆に、人がたくさん集まっては困るというビジネスもあるかと思います。
迷惑しているビジネスオーナーさんは、以下のページからポケストップの解除申請ができます。
解除申請はちょっと待ったほうが良い?
一部の公園や神社など公的要素のある場所では、すでに解除申請を出し、ポケモンが出なくなったところもあるようです。
ポケモンGO 広島市が平和公園の除外求める (筆者はこの対応を批判しているわけではありません)
ただ、「ちょっと人が多くなったので解除してほしい」という程度でしたら、もう少し良く考えたほうが良さそうです。なぜならポケストップを追加してほしいという申請はできないからです。
ポケモンGOはまだリリースされたばかりで、これからどうなっていくのか分からない部分がかなり大きいです。
普段ゲームをしない方(筆者もほとんどしませんが…)はご存じないと思いますが、今のゲームはシステムのアップデートやコンテンツの追加配信ができます。リリース後にゲームバランスを調整したり、新しい要素を追加したりするのが一般的です。
ですので現段階でのポケモンGOを見て、それだけを根拠に判断をすると、おそらくいろんなことを見誤ると思います。
例えばモンスターのトレードが現在は出来ませんが、これはポケモンというゲームを語る上で重要な要素であり、今後追加になる可能性は大いにあるでしょう。
また、特にバトル周りはチューニングの余地が大きく、例えば大規模なチーム戦ができるようになったりすると、動く人の数が数十人単位になったりするのではないでしょうか。
なにしろINGRESSのイベントには国内外から数千人規模の参加者があるのです。仙台でのイベントは6,800人、京都のイベントは5,600人の参加者数を記録し、交通・飲食・ホテル・観光など、その地方の様々な産業に経済効果をもたらします。
「ひとつのポケストップにアクセスできる回数を制限する」という機能(INGRESSで言うところのburnout)が追加されるかもしれません。そうすれば夜中に長時間路駐して地域に迷惑をかける行為に、システム面からの解決を図れるでしょうし、そんな案は当然、すでに開発チーム内で検討されているでしょう。
ポケモンGOに限った話ではありませんが、今だけを見て判断したり、自社の都合だけで顧客をコントロールしたりするのは避けるべきです。
まとめ
さて、ポケモンGOをビジネスに活かす、何かのヒントにはなりましたでしょうか。
いくら流行っているとは言え、「濡れ手に粟のウッハウハ」というようなことはありえません。
ただ、どういう人がプレイしているのかということを理解すれば、今後ユーザー層やサービスが変化しても柔軟に対応できるでしょう。