選挙におけるSNS活用戦略。兵庫県知事選や都知事選を参考にしてはならない理由とは?

SNSは選挙活動における情報発信の手段として、ますます注目を集めています。
しかし、その活用方法を誤ると期待した効果が得られないばかりか、予期せぬトラブルを引き起こすリスクもあります。

本記事では、SNS活用における重要なポイントを解説し、どのように選挙活動に活かすべきかを考察します。

SNS活用の3つの段階

SNSの活用は、大きく以下の3つの段階に分類されます。
まずはそれぞれの特性を理解し、選挙活動においてどの段階を目指すべきかを検討しましょう。

1対多の情報発信

候補者がSNSを通じて有権者に直接情報を届ける形態です。
この段階では情報は一方的に発信され、フォロワーに届くだけで終わることが多いです。選挙活動の基本となる情報発信の形です。

1対多の進化型(拡散型)

候補者が発信した情報がフォロワーによって拡散される形態です。この段階では、フォロワー以外の人々にも情報が届く可能性が高まり、候補者の認知度や支持が広がりやすくなります。

多対多の情報共有(拡散型コミュニティ)

候補者以外の支持者や有権者が、自ら情報を収集・発信し、SNS上で独自の議論や支持活動を展開する段階です。
この段階に達すると情報の拡散力は飛躍的に高まり、大きなうねりを生む可能性があります。

選挙のSNS活用は、「多対多」を目指すべきではない

多対多の状況は、一見すると理想的に思えるかもしれません。
実際、さまざまな選挙においてSNS上で情報拡散が大きな役割を果たしました。
しかし私は、以下の理由からこの「多対多」の形を目指すべきではないと考えられます。

再現性が低い

この状況を意図的に作り出すのは非常に難しく、特に地方選挙では現実的ではありません。
まず少なくとも数千人以上のフォロワーが必要ですが、それくらいのフォロワーを獲得できるまで育てるには、数年~の時間がかかるでしょう。
全国的な注目を集めるような選挙、または国政選挙でなければ、多対多の形を作るのは難しいです。

コントロールが困難

情報が候補者の手を離れ、多様な視点や意見が飛び交う中で、誤解やデマが広がるリスクは避けられません。
候補者にとって有利になるとは限らず、むしろ逆効果になる場合もあります。

そのため、選挙活動においては多対多の段階を無理に目指すのではなく、1対多の進化型を目指すことが現実的かつ効果的です。